不整脈の薬で糖尿病が予防できる? 米国医師会雑誌で報告
糖尿病には1型と2型の2種類があります。このうち、1型糖尿病というのはウイルス感染などをきっかけに膵臓(すいぞう)に炎症が起こって、小児のうちからインスリンというホルモンの分泌が高度に低下。インスリンの注射が必要となるタイプの糖尿病です。進行してしまうと、インスリンの注射と膵臓の移植以外、治療法はありません。しかし、初期のうちに診断することにより、その進行を予防することができないかと研究が続けられています。
最近、不整脈や高血圧の治療に使用する「ベラパミル(ワソラン)」という薬に1型糖尿病の進行を遅らせる効果のあることが報告され、注目されています。
動物実験の結果によると、ベラパミルには細胞の壊死(えし)を誘導するタンパク質の阻害作用があるので、それが膵臓の細胞の減少を予防するような働きがあるのでは、と考えられているのです。
今年の米国医師会雑誌に発表された臨床試験の結果では、1型糖尿病の初期の段階でベラパミルを使用すると、使用しない場合と比較して1年でインスリンの分泌が30%増加し、治療前からの低下も見られなかったと報告されています。これはまだ短期間の試験の報告なので、一般に使用されるまでには多くの検証が必要ですが、この薬を継続して使用することにより糖尿病の進行が予防可能になるかもしれません。