骨粗しょう症には歯の治療で骨が腐る「顎骨壊死」のリスク…骨吸収抑制薬の長期服用で誘発
近年、健康寿命を延ばすためには「歯の健康」が大切だと周知され、虫歯や歯周病の治療が重視されている。高齢になっても歯科治療やケアは欠かせないが、「骨粗しょう症」を抱えている人は注意する必要がある。小林歯科医院院長の小林友貴氏に聞いた。
「骨粗しょう症」は、骨の量が減って強度が低下し骨折しやすくなる病気で、高齢化が進む日本では1000万人以上の患者がいるといわれている。転倒をはじめ、手や肘をつく、くしゃみや咳といったちょっとした衝撃で骨折してしまうケースもある。背骨、手首、太ももの付け根の骨が折れやすく、骨折がきっかけで寝たきりになってしまう場合も少なくない。
治療は薬物療法が中心で、骨密度を高めて骨折の危険を減らす。病状に応じて、①骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート、抗RANKL<デノスマブ>、カルシトニン、SERMなど)、②骨の形成を促進する薬(ビタミンK2、副甲状腺ホルモン<テリパラチド>など)、③骨代謝を調節する薬(カルシウム、活性型ビタミンD3など)が使われている。この中で、①骨吸収抑制薬の「ビスホスホネート」を長く服用している人は、歯科治療を受ける際に注意が必要だという。