糖尿病の人が正しく歩くには柔軟なアキレス腱が必要になる

公開日: 更新日:

原島史哉(下北沢病院リハビリテーション科理学療法士)

 人は歩く時、かかとから着地すると同時に足の指先をそらせ、足の外側(小指側)の柔らかい部分から親指の付け根に重心を移動させ、足の指先を蹴って前に進みます。

 糖尿病で神経障害が出ている人は足先から筋肉が萎縮し、筋肉量が低下していきます。足底にかかる圧力を軽減する筋肉、足の指先を動かす筋肉などが衰えるのです。その結果、足の指が変形し、歩幅が狭くなるなど歩き方も変わってしまいます。

 歩行にはアキレス腱の柔軟性が重要です。それが失われると、かかとへの衝撃が強くなったり、土踏まずのアーチを支える力が弱くなるだけでなく、足先をそらせるなどの動きが弱くなる。すると、足底にかかる圧力の場所が変わり、足の裏にタコやいぼができてケガをしやすくなるのです。

 重度の糖尿病の患者さんの中には足裏を内側に向けて小指側だけを接地させて歩く人がいます。それは、かかとの向きを変える動きに大きく関わる距骨下関節に問題が起こるからです。

 誰でも年を取るとアキレス腱は硬くなり、足首の可動域が狭くなっていきます。糖尿病の人は特にその傾向が強い。そのため糖尿病の人にはアキレス腱のストレッチをするよう、指導しています。具体的には立った状態から片方の足を後ろに下げて20秒程度停止し、反動をつけずに戻します。これを1度につき左右10~20回を1日2~3セットするとよいでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ