著者のコラム一覧
田中里佳順天堂医院足の疾患センター長

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

「足底腱膜炎」の治療やセルフケアについて教えてください

公開日: 更新日:

 朝起きて立ち上がろうと一歩踏み出した途端、足の裏に激しい痛みを感じた経験はありませんか。これは「足底腱膜炎」と呼ばれ、ランニングや長時間の立ち仕事でつま先から踵(かかと)をつなぐ足底腱膜に強い衝撃が繰り返しかかると炎症が起こり発症します。日本人のおよそ10%が罹患(りかん)するといわれ、足の疾患センターでも患者数が多い病気のひとつです。

 中でも気を付けたいのが「扁平(へんぺい)足」の人です。足裏のアーチが崩れて低くなると、足底腱膜が引っ張られた状態が続き、腱と踵の付着部に負荷がかかりやすくなります。さらに、痛みをかばおうとして地面に踵をつけないように歩くと、足底腱膜の伸縮性が失われて硬くなり、歩くたびに痛みが増す悪循環に陥ります。患者さんのほとんどが「踵が痛くて歩けない」と足を引きずって受診されるほど、日常生活に支障を来す病気なのです。

 これまでは消炎鎮痛薬の服用や湿布を貼って炎症が治まるまで安静にする治療法しかなく、何度も繰り返す方が少なくありませんでした。そういった患者さんに有効なのが「体外衝撃波治療」です。これは体の外から患部に衝撃波を当て、痛みを感じる神経伝達物質を減少させるほか、血管新生を促し組織を修復させる治療法です。日本では2012年に保険適用になり、国内外の論文でも60~80%に効果が見られると報告されています。1回の受診につき10~20分照射を3回続けると効果が現れ、患者さんによっては1回だけでも歩けるまで痛みが軽減された方もいるほど即効性に優れています。ただ、扁平足など足変形によって足底腱膜炎を発症している場合、原因となる足の構造を改善しなければ再発しやすいので、インソールの着用やストレッチが重要です。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ