「利尿薬」を飲むとどうしておしっこの量が増えるのか?
以前、降圧薬についてお話しした際に、おしっこを出すクスリ、「利尿薬」についても触れました。高齢者の中には、継続して利尿薬を服用している方もいらっしゃると思いますが、それがどうして処方されているか考えたことはあるでしょうか? 今回から、利尿薬について詳しく紹介していきます。
利尿薬を使ううえで知っておいてほしいのは、「利尿薬を飲むとどうして尿の量が増えるのか?」という点です。尿は腎臓の糸球体というところで血液が濾過(ろか)されることで作られます。だいたい1日に150リットルの尿が糸球体で作られているとされていますが、実際、トイレに行ってそんなにたくさんの尿は出ません。糸球体で濾過された後に、水、糖、アミノ酸、ナトリウムやカルシウムなどの各種電解質が血液中に再度吸収されることで、最終的に排泄される尿の量は0.5~1.5リットルになるようになっています。
前回、クスリとしての塩について取り上げた際、「水は濃度の低いところから高いところに移動する」とお話ししました。これは尿に関しても同じで、この原理を利用して尿の量を増やすクスリを利尿薬といいます。