「利尿薬」を使って尿量を増やすとなぜ血圧が下がるのか
「利尿薬」とは尿の量を増やすクスリで、高血圧の治療にも用いられます。今回は利尿薬を服用するとなぜ血圧が下がるのかについて説明します。
われわれの体の中を流れる血液は白血球や赤血球、血小板などたくさんのものから構成されていて、そこには当然、水分も含まれています。ですから、血液中の水分量が増えると血液自体のボリュームが増加します。血液が流れる血管は伸び縮みするので、ボリューム増加にある程度は対応できるのですが、それにも限界があります。そのため、血液のボリュームの増加は血圧の上昇につながるのです。
では、なぜ血液中の水分量が増加するのでしょうか。一番の原因は塩分にあります。食事などから摂取した塩分は血液中に取り込まれ、塩分摂取量が多くなると血液中の塩分濃度も上昇します。ここにポイントがあります。水は濃度の低い方から高い方に移動する性質があります。お漬物は野菜に塩をたくさん振って漬け込みますが、あれは外側の塩分濃度を高くすると野菜に含まれる水分が中から移動する原理を利用して余計な水分を抜いています。血液でも同様のことが起こり、塩分濃度の高い血液中に水分が移動してくる(血液が水を蓄える)ことで血液のボリュームが増えてしまうのです。