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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

藤あや子さんは全摘を選択…子宮体がんは低用量ピルで発症リスク8割低下

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 低用量ピルを服用すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低く抑えられるため、その影響を受けにくい。そのためピルは、一般に子宮体がんの発症リスクを30%下げるといわれます。服用期間が長いほど予防効果が高く、3年以上で発症リスクは50%、10年以上で実に80%も低下するのです。

 卵巣がんについても同様で、低用量ピルを服用するとその発症リスクが約3割低下。ピルをやめても、子宮体がんや卵巣がんの発症抑制効果は、20年ほど続くとみられます。

 低用量ピルの利用が進む欧米では、子宮体がんや卵巣がんになる女性の頻度や死亡率が減少。その欧米では、HPVワクチンの接種も進み、子宮頚がんは撲滅が視野に入っています。つまり、女性のがんは、こうした対策によって、かなりの確率で予防が可能ということです。

 子宮内膜が、子宮内腔以外の子宮の筋肉や卵巣などに発生する子宮内膜症という病気や月経不順にも、低用量ピルは効果的。こうした低用量ピルの作用は、もっと知られてよいと思います。

 子宮体がんの治療は、子宮と卵巣、リンパ節も含めて摘出する手術が基本。若い女性で妊娠を希望する場合、ホルモン剤での治療もありますが、その適応は初期の子宮体がんで、しかも一部のタイプに限られます。

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