疲労回復には逆効果…「BCAA」が豊富なプロテインは良質な睡眠を妨げる

公開日: 更新日:

 厳しい残暑が続いている。夏バテや疲労を回復させるためには何より睡眠が重要だが、不調を改善しようと実践している食習慣が逆に睡眠の質を落としてしまう恐れがある。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に詳しく聞いた。

「暑い夏は自律神経が酷使されます。自律神経は、体温、血圧、呼吸、心拍数、消化吸収、睡眠、摂食など、人間が生命を維持するために必要な働きをコントロールしていて、もっとも酷使されるのは、体温を一定に保つために働くときです。暑い夏は、体内にこもった熱を放散するために発汗を促したり、体表の血管を拡張して血流を増やすなどフル回転で対応しているため、自律神経が疲弊して疲労が蓄積しやすい季節なのです」

 自律神経をしっかり休めて疲労を解消するには、良質な睡眠を十分に取る必要がある。しかし近年、疲労回復やダイエットといった健康維持のために実践する人が増えた「プロテイン」(栄養補助食品)を定期的に摂取する食習慣が、良質な睡眠を妨げる危険があるという。

「タンパク質=アミノ酸を効率的に摂取するため、最近は数多くのプロテイン飲料や食品が発売されています。その中で、『BCAA』と呼ばれる必須アミノ酸が多く含まれたタイプには注意してください。BCAAは運動時に筋肉のエネルギー源になるバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸の総称で、筋肉の合成やエネルギー代謝に関わる重要なアミノ酸として注目されています。ただ、BCAAを過剰に摂取すると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの材料になる『トリプトファン』というアミノ酸が減ってしまうのです。研究では、BCAAを4グラム摂取すると、トリプトファンの血中濃度が10分の1まで減少することが明らかになっています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝