著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「背が高いとがんになりやすい」は本当だった…10センチで18%増 がん研究専門誌に中国での結果が

公開日: 更新日:

「身長が高いとがんになりやすい」というのは、以前から多くの報告がある仮説です。これまでの主なデータを集めて検討した結果では、身長が10センチ高くなる毎に、すべてのがんのリスクが10%増加すると報告されています。ただ、こうしたデータの多くは欧米のもので、日本人のようなアジア人種でも、同じ結果が出るとは限りません。今年のがん研究の専門誌に、中国での研究結果が報告されています。

 それによると、やはり高身長ほどがんになりやすいという関係は認められていて、身長が10センチ高くなる毎に、すべてのがんのリスクは16%増加していました。これをがんの種類によってみてみると、肺がんが18%、食道がんが21%、乳がんが41%、子宮頸がんが29%、それぞれ増加していることが確認されました。それとは別に、中国人、韓国人、日本人のデータをまとめて解析しても、ほぼ同じ結果が得られました。つまり、一部のがんが高身長で起こりやすいことは、人種を超えた事実であるようなのです。

 それでは、なぜ背が高いとがんになりやすいのでしょうか? おそらく身長が高いことが悪いのではなく、身長と関連のある遺伝子が、がんの発生にも関わっている可能性のあることが推測されています。

 もちろん背が高いだけでがんになるわけではありませんが、一部のがんは背の高い人に多いという事実は、覚えておいた方が良いかもしれません。

【連載】医者も知らない医学の新常識

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