アトピー性皮膚炎がある人は心臓血管疾患のリスクがアップする
アトピー性皮膚炎は血栓症のリスクをアップさせる--。デンマークで行われた大規模調査の報告です。とりわけ、アトピー性皮膚炎がある65歳以上の高齢者や血栓症の既往がある人は、アトピー性皮膚炎ではない人に比べて静脈血栓塞栓症のリスクが10%ほど高く、とりわけ深部静脈血栓症のリスクが15%アップすることがわかりました。
静脈血栓塞栓症は血管に血液の塊=血栓ができて血管が詰まってしまう病気で、足の静脈が詰まる「深部静脈血栓症」と、血栓が移動して肺の動脈に詰まる「肺血栓塞栓症」につながります。重症化するとショック状態になって死亡するリスクが高い病気で、別名では足をかがんだままにしていると発症する「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます。
なぜ、アトピー性皮膚炎が静脈血栓塞栓症のリスクをアップさせるのかについては、まだはっきりとわかっていません。ただ、いくつか要因が考えられます。
まずは、バイオマーカー(疾患の有無、病状の変化、治療の効果を評価する生体内の物質)の影響です。アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な病気で、皮膚のバリアー機能の低下や、アレルギーと深い関係があるIgE抗体を作りやすい体質などのアトピー素因を持っていることが発症の要因になります。