歯の治療を受けるならクスリに注意(3)【降圧薬】歯肉増殖症で切除するケースも
日本高血圧学会によると、日本では高血圧の治療のために約2400万人が降圧薬を服用しているという。
そのうち、最も処方されている降圧薬が「カルシウム拮抗薬」だ。血管壁の筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで血管を広げ、末梢血管の抵抗を減らして血圧を下げる作用がある。
このカルシウム拮抗薬を服用している人は、歯科治療に関わる副作用が生じる可能性があるという。
小林歯科医院院長の小林友貴氏は言う。
「歯肉が過度に腫れたり増殖する『歯肉増殖症』が起こるケースがあるのです。長期にわたってカルシウム拮抗薬を服用している人の約20%に歯肉の腫れが生じるといわれています。カルシウム拮抗薬の服用がなぜ歯肉増殖症を起こすのかについては、まだはっきりわかっていませんが、歯肉の線維芽細胞が関与しているコラーゲンの分解が抑制されて線維化が進むためと考えられています。ただ、一番の要因になるのは口の中の環境が悪い場合です。口腔内の清掃状態が悪くプラークや歯石が蓄積していると、歯肉に刺激が加わったり炎症が生じ、歯肉増殖症が悪化してしまうのです」