著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

老化の指標は「片足立ち30秒」…歩行速度や筋力より信頼できる

公開日: 更新日:

 加齢による体力の衰えは個人差も大きく、人によって自覚する症状も異なります。ただし、歩行機能やバランス能力、筋力といった身体機能の低下は、転倒や骨折のリスクを高め、高齢者の自立した生活を脅かす要因となります。一般的に筋力の低下は30歳ごろから始まり、60歳以降はさらに加速することが知られています。筋力の低下とともに歩行機能やバランス能力も低下すると考えられますが、加齢との関連性について質の高い研究データは限られていました。

 そのような中、身体機能と年齢の関連性を検討した研究論文が、「プロス ワン」というオープンアクセス誌に、2024年10月23日付で掲載されました。米国で行われたこの研究では、50歳以上の健康者40人(男性20人)が対象となりました。研究参加者に対して筋力、バランス能力、歩行速度などの調査を実施し、年齢との関連性を分析しています。なお、筋力は手の握力や膝を伸ばす力が測定され、バランス能力は立位(立った状態)で30秒間にわたって同じ姿勢を保つことができるかどうかを評価しました。

 調査の結果、筋力は年齢が上昇するとともに減少し、10歳ごとの筋力低下率は、手の握力で3.7%、膝を伸ばす力では1.4%低下でした。また、片足で立位姿勢を保てる時間(秒)も年齢が上昇するとともに減少し、10歳ごとの減少時間は、利き足による立位姿勢で1.7秒、利き足とは逆の足による立位姿勢で2.2秒でした。一方、歩行速度と年齢に明確な関連は認められませんでした。

 論文著者らは、「老化に対する評価指標として、片足で立位姿勢を維持できる時間は、歩行速度や筋力と比べて、最も信頼できる」と考察しています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  3. 3

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    西武・鳥越裕介ヘッドコーチ「厳しく指導?僕は基本、怒らないんですよ。ただ…」

  1. 6

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  2. 7

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  3. 8

    兵庫県・斎藤知事パラハラ認定にも無敵の“居座り” 「公務多忙」理由に第三者委報告書にコメントしない厚顔

  4. 9

    佐々木朗希「通訳なし」で気になる英語力…《山本由伸より話せる説》浮上のまさか

  5. 10

    復権狙う自民旧安倍派にトドメ!「10万円商品券」配布問題でチルドレンが石破首相に“助け船”の爆弾証言