老化の指標は「片足立ち30秒」…歩行速度や筋力より信頼できる
加齢による体力の衰えは個人差も大きく、人によって自覚する症状も異なります。ただし、歩行機能やバランス能力、筋力といった身体機能の低下は、転倒や骨折のリスクを高め、高齢者の自立した生活を脅かす要因となります。一般的に筋力の低下は30歳ごろから始まり、60歳以降はさらに加速することが知られています。筋力の低下とともに歩行機能やバランス能力も低下すると考えられますが、加齢との関連性について質の高い研究データは限られていました。
そのような中、身体機能と年齢の関連性を検討した研究論文が、「プロス ワン」というオープンアクセス誌に、2024年10月23日付で掲載されました。米国で行われたこの研究では、50歳以上の健康者40人(男性20人)が対象となりました。研究参加者に対して筋力、バランス能力、歩行速度などの調査を実施し、年齢との関連性を分析しています。なお、筋力は手の握力や膝を伸ばす力が測定され、バランス能力は立位(立った状態)で30秒間にわたって同じ姿勢を保つことができるかどうかを評価しました。
調査の結果、筋力は年齢が上昇するとともに減少し、10歳ごとの筋力低下率は、手の握力で3.7%、膝を伸ばす力では1.4%低下でした。また、片足で立位姿勢を保てる時間(秒)も年齢が上昇するとともに減少し、10歳ごとの減少時間は、利き足による立位姿勢で1.7秒、利き足とは逆の足による立位姿勢で2.2秒でした。一方、歩行速度と年齢に明確な関連は認められませんでした。
論文著者らは、「老化に対する評価指標として、片足で立位姿勢を維持できる時間は、歩行速度や筋力と比べて、最も信頼できる」と考察しています。