糖尿病患者は「骨折」に注意する…命に関わる合併症のひとつ
「糖尿病の人とそうでない人を比べた研究では1型糖尿病で3~7倍、2型糖尿病の人で1.3~2.8倍骨折しやすいことが報告されています。その理由のひとつが糖尿病の人の骨が脆弱だからです」
鉄筋コンクリートの建物の強度は、鉄筋とそれを取り囲むコンクリートの強さで決まる。骨の強度もそれと同じだ。
「骨はコラーゲンというタンパク質が束になってコラーゲン線維となり、ビルにたとえると、鉄筋部分の役割を果たしています。その周りにカルシウムなどのミネラルがコンクリートのように張り付くことで強度を保っているのです。強い骨になるにはコラーゲンにカルシウムやリンなどのミネラルが均一に沈着する必要があります」
■骨密度ではなく骨質に問題がある
ところが、糖尿病で高血糖が続くと、タンパク質に糖が結びつきコラーゲン同士のつながりが弱くなる。結果として骨質が劣化する。
「骨の強さは骨密度で決まると考えがちですが、骨の質が悪ければ、骨密度が低下しなくても骨折しやすくなります。糖尿病の人は骨密度が高くても安心してはいけないのです」