幻視、幻覚、被害妄想があった母を遠距離からどう支援したのか
「ま~くん、おるんよ」
枕元に、母が座っていました。え、と思って時刻を確認すると午前3時でした。母が1人で暮らしている実家に帰省した時の出来事です。
「何がおるん?」と返事をすると、「あいつらが、また来とるんよ」と母がきつく言いました。とても怖くなりました。恐る恐る、「どこにおるの?」とたずねると、「お風呂場よ。こっちにおるから」と母が答えます。
「何か悪いことするの?」
「なんも悪いことはせんよ。でも、来とるんよ。こっちよ」
母が風呂場に向かいました。仕方なく、眠たい目をこすりつつ、後に続きました。
「ほら、おるやろ」
「どこにおるん?」
「あそこよ。あの隅に、黒いのが3人おるやろ」
愕然としました。もちろん、何もいないのです。
私が「誰もおらんよ。人も見えないよ」と言っても、母は「……見えんの? あそこよ」と言い張ります。私は「本当に誰もおらんよ。何も見えんよ」と、答えるしかありませんでした。