高齢者はなぜ意識して「水」を飲む必要があるのか?
では、通常の生活をしている成人が必要とする1日の水分量はどれくらいなのか?
「約2.5リットルと言われています。うち0.9リットルは野菜や米、肉や魚などの食材と、調理に使われる水から得られています。飲料水は1.3リットルで、残り0.3リットルは体内で作られているのです」
■ミトコンドリアに注目
一方、1日あたりで排泄される水は汗と呼吸で0.9リットル、尿と便などで1.6リットルと考えられている。では、体内で作られる水はどのようにして産生されるのか?
ヒトを形成する60兆個(37兆個との説もある)の細胞のほぼすべてに「ミトコンドリア」と呼ばれるエネルギー工場が数百から数千存在している。エネルギーの原料は食べ物から得た糖質、脂質、タンパク質などで、これらを代謝し、ピルビン酸に姿を変えてミトコンドリアに送り込む。
「ピルビン酸はアセチルCoAに変換され、呼吸で得た酸素と結びつくなどしてエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)を生成するのです。この過程で生まれるのが代謝水です。成人1日あたり300~500ミリリットル作り出すとされています」