著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

NTTドコモ「銀行業」進出の野望と背景…前田義晃新社長の思わせぶり発言に銀行業界は戦々恐々

公開日: 更新日:

 前田氏はリクルートを経て2000年にドコモへ入社した中途採用組だ。携帯電話サービス「iモード」やポイントサービス「dポイント」に携わり、マネックス証券の買収等も手掛けた。そうした非通信分野の手腕を買ってドコモ社長に抜擢したのはNTTグループのドン、澤田純会長だ。

 澤田氏は20年末に上場子会社であったNTTドコモを完全子会社化した。買収総額は約4兆2500億円と、国内企業へのTOB(株式公開買い付け)としては過去最高額。ドコモ分離から28年を経て、NTTグループは再統合へ動き出したと喧伝された。

 NTTドコモは4月にアマゾンジャパンとポイント事業で提携を発表したが、この電子商取引(EC)の巨人との提携を主導したのも澤田氏、前田氏の師弟コンビだ。

 前田氏は、銀行業への参入について、金融機関との提携や買収の可能性に触れつつ、「お相手が見つかるかにもよる」「いろんなことを検討している」と思わせぶりな発言を繰り返しており、取引銀行は戦々恐々となっている。


■ドコモと組む銀行は勝ち組に

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