NTTドコモ「銀行業」進出の野望と背景…前田義晃新社長の思わせぶり発言に銀行業界は戦々恐々
6月にNTTドコモの新社長に就いたばかりの前田義晃氏(54)が各種マスコミインタビューで、銀行業への参入をぶち上げている。金融機関との連携などを念頭に「相手がいれば今年度内も視野に入れたい」というほどの前のめりぶりだ。
背景にあるのは、携帯料金の引き下げや人口減少などによる通信事業の先細り懸念だ。このため「金融など非通信事業を強化することで顧客の囲い込みとポイント経済圏の拡大に活路を見いだそうということだろう」(メガバンク幹部)とみられている。
特にライバルのKDDI、ソフトバンク、楽天グループはそれぞれグループ内に銀行・証券会社を持ち、「ポイント経済圏」を形成して高い収益を上げている。
一方、ドコモは昨秋以降、ネット証券大手のマネックス証券や、オリックス・クレジットを相次いで買収、子会社化したが、唯一、グループの中に銀行を持たず、顧客サービスで劣後している。例えば「マネックス証券のサイトで株などを購入してもらっても、外部の銀行口座を使ってもらわなければならず、使い勝手が悪い。ドコモ経済圏が選択されなくなる」(前田氏)というわけだ。銀行業への進出は待ったなしの状況にある。