楽天は2026年にサービス開始…「衛星との直接通信」で気になる8つの疑問

公開日: 更新日:

「船の上や飛行機の中から直接つながることになります」──楽天モバイルが2026年内に衛星と携帯電話との直接通信サービスを目指すと発表したことを受け、楽天グループの三木谷浩史社長はこう語っている。能登半島地震でも使われた衛星通信は、世界中が注目する技術だ。通信品質や実現可能性は、どうなのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

Q.そもそもどんな技術なのか?

「衛星通信を行うにはいくつかの技術があって、衛星電話の主流は上空550キロ付近を軌道とする低軌道衛星を使います。その軌道になるべく多くの衛星を打ち上げて、携帯端末と安定的に電波を送受信するのです。イーロン・マスク氏が創業した宇宙企業スペースXが手掛けるスターリンクもこの技術を使用しています」

 BSをはじめとする衛星放送は、赤道上空約3万6000キロに打ち上げられた衛星と通信することで動画を視聴できる。

Q.能登半島地震で通信障害の解消に役立った技術も同じ仕組み?

「はい、同じです。KDDIはスペースXと提携していて、今回の地震で通信障害が広がったエリアにスターリンクのアンテナを設置して、基地局の代わりとして使用しました」

 アンテナは小型で軽量なため、車が入れない地域にはKDDIスタッフが人力で運び、アンテナを設置し、Wi-Fi環境を整え、高速通信が可能になった。アンテナ1台で120台ほどの端末を接続できるという。

Q.通信の品質はどうなのか?

「たとえばBSなどの衛星放送を見ているとき、雷雨や台風などの豪雨で画像が乱れた経験をしたことがあると思います。その原因は、豪雨で電波が弱められるためです。衛星電話も、天候によっては通信や通話が難しくなる可能性があります。また、衛星電話の電波は直進性で、端末や衛星との間に建物をはじめ遮蔽物があると、通信できません。高層ビルが多い都市部でつながりにくく、屋内で使用するには別に屋内用アンテナが必要です」

 能登半島地震で利用されたスターリンクも、衛星と携帯との直接通信ではなく、アンテナを経由した。KDDIは能登半島地震の前からスターリンクを基地局やWi-Fiスポットとして活用していて、この経験が大規模災害での活用に役立ったという。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    兵庫県知事選「頑張れ、斎藤元彦!」続出の異常事態…まさかの再選なら県政はカオス確実

  2. 2

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  3. 3

    斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散

  4. 4

    シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    悠仁さまの処遇めぐり保護者間で高まる懸念…筑付高は東大推薦入試で公平性を担保できるのか

  3. 8

    異様な兵庫県知事選の実態…斎藤元彦氏の疑惑「パワハラは捏造」の臆測が急拡散

  4. 9

    誰かがタレ込んだ? 国民民主党・玉木代表と元グラドルの密会不倫報道を巡る「新たな陰謀説」浮上

  5. 10

    「資格確認書」利用で窓口負担増の“ペナルティー”を政府検討 露骨な格差に識者も怒り露わに会員限定記事

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇