迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり
「プロ向けの作業着は流行性にとらわれないため、秋などに中国のアパレル工場の閑散期に発注でき、価格を抑えてきた。同様に一般向けのウエアも他のアパレルより改廃が少ないため、閑散期に作れる。全社で1000店舗以上あり、スケールメリットも大きい」(前出の関係者)
しかし近年では客離れが進みつつある。23年度の既存店客数(全社)は前年比で96%となり、翌24年度は先月末までの累計で99.5%と微減が続く。猛暑の影響もあるが、24年10月単月の売上高は85.5%と減少幅が大きい。
「一般客をつかむには流行を追い続けなければならない。アウトドアウエア人気はピークが過ぎており、機能性を重視する姿勢がネックになっている」と前出の社長は話す。
■ユーザーも絞り切れていない
特に女性向け商品は流行の変化が早く、「Workman Colors」は男性向け回帰を狙ったものだという。
ちなみにワークマンはプラス店の出店を加速していた21年12月、プロ職人向けの新業態店「WORKMAN Pro」を出店している。一般向けシフトを懸念する職人の意見をくみ取ったものだが、10店舗しか展開できていない。作業着小売店の社長は「ワークマンはもはや敵ではない」と言い、プロ向け業界におけるワークマンの地位は低下しているようだ。プロ向けに回帰したとしても業績回復は厳しそうだ。
現在はプロ向けと一般向けの両店舗があり、ユーザーも絞り切れていない。
迷走を続ける限り、客離れがさらに進行する懸念はある。
(山口伸/ライター)