「速い球」投げるには「股」を鍛えろ
速い球を投げる、強い打球を打つことに共通するのは「内側の力」が大事だということ。私は特に「股関節」を重視している。投げる時、打つ時に、いかに股を締められるか。昨季本塁打記録を更新したバレンティン(ヤクルト)は“急所”の部分を絞り込んで一気に回転している。この股関節運動は、速い球を投げる投球動作と同じだ。
股関節を鍛えるには股割り、四股、両足を開脚して体を前に倒すといった昔ながらの運動、ハードルをまたぐのも効果的。最近は横高でも数多く取り入れている。
速く投げたければとにかく走る。ウチはアップの代わりに400、200、100メートルダッシュを5本ずつ。投手は数種類のアメリカンノックで右へ左へ走らせる。なぜ投手は走るのか。心肺機能を強くすることが目的だ。心肺はスタミナに直結している。そして、下半身が安定すれば球に力が伝わりやすいから球速もアップする。投手はこれを理解して走って欲しい。
成瀬善久(ロッテ)は高校時代、テークバックを小さくして球の出どころを見えにくくする投球フォームの研究を重ねた。ボールを持った手を頭の後ろでギリギリまで隠すイメージ。これができれば、130キロ台でも体感速度が5キロは増す。
肩甲骨、背筋、股関節……と大事な部位はあるものの、速ければいいってものではない。フォーム等で速く見せる工夫も必要だ。