「速い球」投げるには「股」を鍛えろ
速い球を投げたい――。投手なら小中学生からプロ野球選手まで、誰もが憧れる永遠のテーマだ。
横浜高から松坂大輔(メッツからFA)や涌井秀章(ロッテ)などの速球派をプロへ送り込んでいるからか、「どうすれば球が速くなるか?」と聞かれることが多い。これは難しい問題だ。大事なのは「瞬発力」と「全身の力」だが、誰もが150キロを投げられるわけではない。
松坂が入学した頃は135キロ程度。ただ、「この子はもっと速くなる」というのはあった。まず、腕の振りがケタ違いに速い。指導者は「腕を振れ」とよく教えるが、言われて速く振れるものでもない。松坂は子供の頃、剣道をやっていた。そのため、背筋が強く、肩甲骨周辺の筋肉が異常に柔らかい。リリースしてから右手が背中に届くほど。これなら速く、大きく腕が振れるが、こんな投手はめったにいない。
手足が長い涌井はリーチを生かし、投球時に大きく弧を描けるから速い球が投げられる。
楽天1位の松井裕樹君(桐光学園3年)は全身がバネ。身長174センチと大柄ではないものの、腰回りや尻などの下半身がガッチリしている。バネは天性のものだと思われがちだが、小学生までにある程度は培える。水泳、剣道といったスポーツ、鉄棒や木登りなどの遊びが、バネとなって後々生きてくることがある。