権藤博氏が苦言 「松井裕は矯正するなと、星野監督はなぜ言わぬ」
■個性や長所をないがしろ
新人だろうが、ベテランだろうが、投球フォームというのは、その投手の個性であり、主張である。それに安易に手を入れるのは、厳に慎むべきだ。ましてや、松井裕はまだプロとして一度も実戦に登板していないどころか、1球も打者を相手に投げていない。投げるたびにKOされているのならまだしも、結果も出ていない段階で何を根拠にフォームの良しあしを判断できるのか。
松井裕は自分でつくり上げたこの投球フォームでプロの扉をこじ開けた。甲子園で1試合22奪三振の記録を作り、プロ5球団がドラフト1位で入札する評価を受けた。それが仮にささいな改造であっても、そのことで松井裕本来の良さが消えてしまうことだって十分にあり得る。過去に指導者の教え過ぎが原因で個性を潰され、自分を見失い、頭が混乱して、消えていった選手がごまんといるのに、なぜ同じ愚を繰り返すのか。
佐藤コーチは投手コーチとして14年ものキャリアがある。日本ハムではダルビッシュを、楽天では田中将大の飛躍を手助けした。経験も手腕も確かなものがある、と私も一目置いている。選手の側に立った指導者だと評価しているだけに、今回のことは解せない。