決め手は「精神」 ヤンキースがダルより田中を評価した理由
■ダルはイチロータイプ
そこへいくと昨季、サイ・ヤング賞投票でリーグ2位だったダルビッシュ(27=レンジャーズ)は、ヤンキースのメガネにかなわなかった。
日本のプロ野球7年間の通算成績は田中の99勝35敗、防御率2.30に対し、ダルは93勝38敗、防御率1.99。防御率をはじめとするメジャー入り当時の実績や技術は「ダルの方が上」とみられていた。それでもレンジャーズに次いで高い評価をしたのはトロント・ブルージェイズだった。
日本球界最後のシーズンだった11年は、当時の梨田監督の起用法にぶんむくれ、レギュラーシーズンの最終登板をキャンセルした。渡米後も呼吸が合わなければ試合中でも捕手とケンカ、思うような投球ができないとマウンド上で露骨に不機嫌になる。「最大の目標はワールドシリーズに勝つこと」と言うものの、チームの勝利最優先なら試合中に味方と言い争いをしたり、ナインの士気に影響したりする可能性のあることをするはずがない。要するに自分が納得する数字を残して、なおかつチームも勝てばいいと考える。どちらかといえばイチローに似たタイプだ。