五輪施設見直し 森喜朗会長の「IOC受けつけない」はウソ
あたかも、IOCが見直しに応じないという口ぶりだが、実際はそうではない。会場変更にはIOCの承認が必要ではあるものの、過去には会場を変更した前例もある。04年のアテネ五輪では、工事の遅れからボクシング会場の新設を中止して既存施設を使用。12年のロンドン五輪ではバドミントンと新体操の会場を仮設から既存に変更した。いずれも決定は大会の2年前。今回の東京五輪も遅すぎるということはないし、認められないということもないのだ。
元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏は言う。
「五輪やアスリートの立場から言えば、森さんの主張は正論ではあります。2年前から協議を重ねてきて、ようやく決まったものを、都知事が代わった途端に建設費用のことを持ち出された。憤慨する気持ちは分かる。でも、森さんが言うからその正論もなかなか理解が得られないのでは。他の誰かがきちんと説明すればこういう混乱は招かなかったかもしれませんね」
要するに東京五輪の成否のカギを握る組織委トップに何の信頼もないからこうなるのだ。