菅野の準決勝“圧巻投球”はスライダーを捨てたからこそ
今大会で世界に名前を売った千賀(24=ソフトバンク)に、「荒れ球はおまえの持ち味。ただし、ボールが左右に荒れるのはいかん。ストライクゾーンの高低に荒れれば武器になるから、そのために腕を上から真っすぐ振り下ろせ」とアドバイスした。侍ジャパンのメンバーに名を連ねるような日本を代表する投手に、細かな技術的な指導など必要ない。
米国との準決勝の先発マウンドを託した菅野(27=巨人)にはこう伝えた。
「真っすぐでどんどん攻める。スライダーに頼るのはもうなしだ」
菅野は日本のエース。当然、今回のWBCでは先発陣の柱だと考えていた。しかし、2次ラウンドのキューバ戦で4回4失点。1次ラウンドの豪州戦でも五回途中を1失点に抑えながら、二回に先制の本塁打を浴びるなど、完璧主義者の本人が納得できるようなピッチングができなかった。
■「決勝のことを考えるのはやめにしましょう」
米国との大一番には、海外勢をキリキリ舞いさせていた千賀の先発も考えられただろう。しかし、「先発・菅野、2番手・千賀」の起用に迷いはなかった。小久保監督にも「決勝のことは考えるのをやめましょう。ここを勝たなければ次はないんですから。準決勝に勝つために、すべての力を結集させましょう」と進言し、同意を得た。