投手起用は「行き当たりばったり」
WBC期間中、投手陣の起用で事前に決めていたのは、各試合の先発投手と抑えの牧田だけだった。2番手以降の継投については、「行き当たりばったり」。意図を問う報道陣にもそう言っていた。彼らは真に受けていなかったようだが、それが正直なところだった。
横浜での監督時代、私は中継ぎにもローテーション制を敷いた。それはあくまで、一年間のペナントレースを勝ち抜くため。心身のスタミナを最後まで持たせるために、時には勝敗を度外視して投手を休ませる必要もあるのだが、短期決戦のWBCはまったく別物だ。
球数制限がある中、あらかじめ登板予定投手と順番を決めたところで、予定通りになどいくわけがない。相手はほとんど対戦経験のない打者ばかり。
打席の雰囲気も検討材料にした
打撃フォーム、スイングとその軌道、もっと言えば打席での雰囲気まで検討材料にし、この打者にはこの投手の方がタイミングを合わせにくいな、とその場その場で考えながらの継投策。まさに、「行き当たりばったり」。よく言えば、「臨機応変」が今回の私のやり方だった。