加害者意識なき日馬富士 それでも持ち上げるメディアの愚
■貴ノ岩に「ちゃんとした生き方をして」
こんなフザケた会見になったのも、大マスコミの責任が大きい。お涙頂戴のヨイショ質問ばかりだったからだ。
「ファンへの思いは」「師匠の涙はどういうふうに受け止めた」「今場所、土俵に上がっていた気持ちは」……などと、どうでもいいことばかり。こんな調子だから、日馬富士は笑顔こそ見せなかったものの、サッパリした表情で「私は相撲を愛しています」「心から感謝を申し上げます」「国民の皆さまに感動と勇気」「素晴らしい17年間」などと歯の浮くようなセリフが出るわ出るわ。その一方で、貴ノ岩に対する今の気持ちについては「傷つけて申し訳なかった。これからは礼節と礼儀を忘れずにちゃんとした生き方をして、しっかり頑張っていってほしいと思う」ときた。恐らく、今でも礼節と礼儀が足りないからおまえはブン殴られたのだ――と思っているのだろう。「ちゃんとした生き方をして」なんて一体、どの口が言っているのか。まるで加害者意識ゼロだ。
そんな日馬富士をテレビ局の中には「モンゴルで病気の子供たちのための活動をしている」「日本式学校建設への出資をしている」と持ち上げていたから、狂っている。慈善活動していれば暴力を振るってもいいのか。シタリ顔で「引退は残念」とか言っているコメンテーターは、自分の家族の頭がカチ割られても同じことが言えるのか。今回の暴行事件は相手が力士だったから、頭部を縫うぐらいで済んだが、一般人だったら亡くなっていたかもしれないのだ。
いつまで経っても大相撲の非常識なゴロツキ集団体質が変わらないのは、大マスコミのヨイショ報道も要因なのだ。