稀勢の里“ガチンコ横綱”の限界…過信と疲労蓄積で自滅連敗
大相撲の本場所は15日間が年6回。100キロを超える巨漢たちが15日間、連日、激突するのだから、肉体の負担は相当なもの。「オレはガチンコ」と自慢げに話していた稀勢の里のことだから、手を抜いた一番などなかったに違いない。となれば、蓄積されたダメージも無視できない。
■「勝って当然」の期待
さらに本場所の合間には年4回、約1カ月間の地方巡業がある。昨年の巡業は計91日。巡業日数が90日を超えたのは1992年(93日)以来だ。相撲人気の証明とはいえ、現場の力士から悲鳴も出ている。
これだけならどの力士も条件は同じ。稀勢の里に限った話ではないが、何より大きいのが横綱の責任というプレッシャーだ。本場所では「勝って当然」と期待され、負ければ波乱。まわしを締めていない間も、人の目がある限り、常に立ち居振る舞いに神経を使わなければならない。
もし、稀勢の里が横綱でなければ、ここまでボロボロになることはなかったのではないか。八角理事長は「気持ちは入っていても足や体がついていかなかった」と話した。
もっとも、終わりよければすべてよし――という言葉もある。せめて、引き際だけは誤らないでほしいものだが。