復帰戦白星も完全には遠く 巨人菅野が直面する“3つの命題”
OBで元巨人投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言う。
「下半身が使えていなかった最悪の状態から脱した感はあるが、まだ完全には程遠い。この日の捕手はいつもの小林ではなく、初めて炭谷とバッテリーを組んだが、制球に苦しんでいた初回、右打者に死球を与えたり、逆球になったり、炭谷が構えているインコースに投げ切れない場面が何度もあった。本塁打されたのは真ん中高めの甘いスライダー。今年は精密機械のような菅野の制球力に、どこか狂いが生じている。完調時の跳ね上がるような躍動感や腕の振りも戻っていない。得意のスライダーもブレーキが利いておらず、曲がりも早いのか、打者に見極められていた。巨人は相変わらずリリーフ陣が苦しい。首脳陣は次からは長い回を投げて欲しいでしょう。真価が問われるのは次の登板です」
チームは救援問題が深刻化している。前日は3連投となった守護神・中川が1点リードをひっくり返され、初めて土がついた。開幕から孤軍奮闘してきた「最後の砦」が崩されたが、中川の代わりは現状、どこにも見当たらない。
原監督は菅野について「しっかり投げられたし、勝ち星もついた。100球をメドで代えるつもりだった。価値ある内容だった」と及第点を与えたが、年俸6億5000万円の球界最高給取りが、これからも6回2失点で納得してもらえるはずはない。絶対エースには救援陣を助ける完投が求められている。
「故障明け」「一発病」「脆弱な救援陣のカバー」。この3つの命題と向き合うには、まだまだ安心できない内容かもしれない。