大坂なおみ“絶不調の深層”自信喪失を招いた周囲の経験不足
■「ハードコートのスペシャリストに」
チームの戦略上の問題も大きい。大坂がフェデラーのようなオールラウンダーを目指すというだけではチーム戦略とは言えない。最大の武器がパワーの大坂をどうやってオールラウンダーに変えていくのか。彼女の長所を生かしながら、何が必要かを長期的視点に立ってプランニング、実行するのがチームとしての戦略だろう。これまで力任せで勝ってきた大坂に対して、いきなり小技を磨けと言っても困惑するだけだ。
「いまの大坂は自分がどうしていいか分からずに、頭を抱えているようにしか見えない。要するに気持ちの問題が大きいわけで、一変する可能性もあるにはあります。ただ、彼女は、全米と全豪で勝ったように何よりハードコートが得意なのだから、まずはハードコートのスペシャリストになるべきではないか。ハードのスペシャリストになった上で、徐々に赤土のクレーや芝でも勝てるオールラウンダーを目指していけばいいと思う」(前出の武田氏)
成功例は先の全仏を制したナダルだ。クレーが得意なナダルが最初に全仏を勝ったのは2005年。まずは全仏だけ狙って4連覇、次にウィンブルドン(08年)、次に全豪(09年)、それから全米(10年)と年齢や成長に伴い、段階を踏んだうえでキャリアグランドスラムを達成した。
4大大会を連覇したからといって、すぐに残りの2大会も勝たせようとオールラウンダーへの転身を急いて彼女の長所まで殺してしまうようでは、ハンドリングがマズいとしか言いようがない。