メッツのオーナーはMLB球団で最も裕福 カネは出すがクチも出す、選手の見極めも超シビア

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スティーブ・コーエン(オーナー/66歳)

 ソフトバンクからFAで大リーグ移籍を目指していた千賀滉大(29)のメッツ入団が内定した。

 5年総額7500万ドル(約103億円)で合意し、メディカルチェックが済み次第、正式に発表される。地元メディアなどによれば、トレード拒否権に加え、3年目の2025年シーズン終了後に契約を破棄してFAになるオプトアウト条項が付くという。

 メッツのスティーブ・コーエンオーナーは1兆円超の資産を保有するビリオネア。米国の大富豪が名を連ねるMLB球団のオーナーの中でも最も裕福なことで知られている。

 ヘッジファンドで財を成したコーエン氏は20年9月に球団を買収して以来、金に糸目をつけずに積極的な補強を敢行。昨オフはサイ・ヤング賞3度のシャーザー(38)を3年1億3000万ドル(当時のレートで約148億円)で獲得。今オフは同賞3度のバーランダー(39)と2年8600万ドル(約117億4000万円)、巧打の外野手ニモ(29)と8年総額1億6200万ドル(約222億円)でそれぞれ契約。千賀ら他の選手と合わせて来季の年俸総額は史上初の4億ドル(約546億円)に達するという。

■ヘッジファンドのアナリストを出向させてデータ分析

 コーエン氏はしかし、やみくもに大金を投じているわけではない。本業の投資事業で得たノウハウを球団運営にも生かしているようだ。

 メッツ買収後、自身が運営するヘッジファンド「ポイント72アセット・マネジメント」のアナリストを球団に出向させ、データ分析部門を強化した。

 従来の8人から35人に増員したアナリストらによって、自軍はもちろん他球団の選手の能力まで多角的に分析している。シャーザーやバーランダー、千賀らの大型契約はアナリストが独自の数式ではじき出した金額だという。

 大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言った。

「コーエンオーナーはメディアの取材を一切受けず、表舞台にほとんど姿を見せないことで知られています。私生活などはベールに包まれていますが、大金を投じて選手をかき集めているのは、社会的ステータスを高める狙いがあるのでしょう。コーエン氏が手がけるヘッジファンドは株価を不当に操作して企業乗っ取りを図るなどのネガティブな印象が定着しているため、イメージアップを図りたいのではないか。米国では大リーグ球団のオーナーは尊敬の対象ではありますが、保有する球団が世界一になれば、社会的地位の向上が見込めます。メッツは来季、2年連続でぜいたく税の対象となるのは確実ですが、ワールドシリーズ制覇をもくろむコーエン氏にとっては痛くもかゆくもない金額ではないか」

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