メッツのオーナーはMLB球団で最も裕福 カネは出すがクチも出す、選手の見極めも超シビア
独自の指標で損切りも容赦ない
補強費用を惜しまない一方で、自軍の選手の見極めはシビアだ。今オフはFAになったサイ・ヤング賞2度のデグロム(34=現レンジャーズ)ら先発投手3人との再契約を見送った。デグロムは160キロ近い速球とキレのある変化球を武器に18年(1.70)と21年(1.08)には防御率1点台をマークしたが、今季は前年に痛めた右肘の回復が遅れ、11試合の登板に終わった。コーエン氏は最終的に、過去の実績は十分でも年齢的に故障リスクが高いと判断したのだという。
「千賀はソフトバンク時代、度重なる故障に苦しんだだけに当然、メッツは将来的なリスクも計算済みのはずです。千賀の契約にはトレード拒否やオプトアウト条項が盛り込まれているとはいえ、期待外れに終わったり、働きが金額に見合っていないと判断されれば、違約金を払ってでも契約解除に踏み切ることも考えられます」(友成那智氏)
コーエン氏は生き馬の目を抜く投機の世界を勝ち抜いてきただけに“損切り”のタイミングを間違えることはないというのだ。
メッツは今季リーグ2位の101勝をマークしたものの、ポストシーズンは初戦のワイルドカードシリーズでパドレスに敗れた。オーナーが熱望する世界一に貢献できれば立場は安泰だが、十分なパフォーマンスを発揮しきれなければ、その反動は少なくなさそうだ。