大谷翔平もっかの希望は三冠王! 来季限りの打者専念は絶好機、球団の攻撃力がFAのカギになる
チャンスは来季だけ
そんな大谷が来季、視野に入れているのは三冠王だという。
今季も可能性があるにはあった。右肘に加えて右脇腹まで痛め、打者としての出場は9月4日のアスレチックス戦が最後。135試合の出場にとどまったにもかかわらず、44本塁打でタイトルを獲得、打率は首位と2分6厘差の.304(リーグ4位)、打点はトップと17点差の95(リーグ14位)だった。
ケガに加えて、大谷は二刀流の“ハンディ”も抱えていた。打者だけでなく、投手としての調整や実戦をこなした上で打撃3部門で上位の成績を残したのだ。
だが、来季は打者に専念する。9月に右肘靱帯の修復手術。投げたくても投げられず、打つことに専念せざるを得ない状況はしかし、三冠王を狙う上でまたとないチャンスではないか。
代理人によれば、大谷は投げることが大好きで、二刀流を長く続けることが重要だという。だとすれば投手として復帰する再来年以降は、可能な限り打って投げ続けることになる。つまり極端な言い方をすれば、打者に専念できるのは来季以外にないのだ。
■ひとりでは難しい打点
三冠王を目指す場合、これまでの大谷には障害があった。本塁打と打率はどのチームにいようと、ある程度は自分の力で数字を残せる。けれども、そうはいかないのが打点だ。
それは今季の大谷が象徴しているのではないか。リーグ断トツの44本塁打を放ちながら95打点止まりは、大谷の打席で塁にいる走者がいかに少なかったかを如実に物語っている。
メジャーの日本人選手の打点ランキングで、大谷の95打点は5位。上位4位まではヤンキース時代の松井秀喜が独占している。05年の116が最多で、04年の108、03年の106、07年の103と続く。当時のヤンキースで松井の前にいた打者といえばジーター、バーニー・ウィリアムズ、シェフィールド、ジオンビーらそうそうたるメンバー。むろん松井が強打者だったことは事実だが、彼らが塁を賑わせていれば、おのずと打点だって増える。
そこへいくと大谷のエンゼルスのチーム総得点739は、ア・リーグ15球団中9位。攻撃力は平均以下だった。大谷は2、3番を打つケースが多いものの、塁に走者がいなければ打点の稼ぎようがない。
エンゼルスのクオリファイングオファーを蹴飛ばして、来季はどこでプレーするのか。その去就が注目されるFA大谷が何より重視するのは、これまで通り打って投げての二刀流を貫ける球団だ。「ヒリヒリした9月」を過ごすためにも優勝争いが可能な強豪球団が候補に挙がっているけれども、来季限りの打者専念というメリットを生かして三冠王を狙うためにも、これまでのエンゼルス以上の攻撃力は必要不可欠。本気で大谷獲得を狙う球団は、エンゼルスも含めて攻撃力が重要になる。