見た目で買った面白読本
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“ふうせん”で追う宇宙への夢
私事で恐縮だが、小学生の頃、「自作の凧」揚げに熱中したことがあった。ビニールシートと竹ヒゴ製のシンプルな物だが、冬のある日、わが「会心作」を近場の高台で揚げてみた。米粒大になるまで上昇するも、手元の…
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“ありのまま”が凄い「海」のいきもの
5ミリのクラゲから50トンのクジラまで、美しくも不思議な命たちの競演。厳選写真375点を収載。多種多様な命に満ちた豊饒なる海の世界を堪能できるビジュアルブック(帯から)。 「絵にも描けない」の…
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“製本に技あり”のオブジェ本
本の設計を仕事にしていても、「立体構造物としての本」と「光」の関係を忘れてしまうことがある。 例えばページをめくる途中、照明の光が当たれば反対側に「影」が落ちる。光が強ければ強いほど濃い影に…
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思わず見とれる“自然のデザイン”
元来、昆虫に限らず図鑑の図版は手描きの「絵のチカラ」に頼るものが多かった。リアリティーや美しさに加え、分類上の「違い」を際立たせることが重視された。なぜなら、観察対象の各パーツを「見分け、名付け、関…
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ゾンビ映画の歴史を一望する天下御免の意欲作
「250点を超える図版とともにゾンビ映画の歴史を徹底解剖!(帯より)」 いろいろな意味で「堪らない」ビジュアル本。漆黒のカバーは、濃い灰色のゾンビの顔で埋め尽くされている。タイトルの赤い文字は…
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癒し系キャラの“心”に迫る
クラゲの美しいスケッチといえば、20世紀初頭に出版された、ドイツの生物学者、E・ヘッケルの「生物の驚異的な形」が思い浮かぶ。「対称性と秩序」に着目しクラゲの「体の構造」を解き明かす歴史的名著だ。一方…
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“月並み”じゃない「月の満ち欠け」
秋風に たなびく雲の 絶え間より 漏れ出づる月の 影のさやけさ (百人一首/左京大夫顕輔) 身近な天体だというのに、月に関して知らないことが多い。月初の「一日」を「ついたち」と読むのも「月…
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箱の設計に“王道”なし
「完璧な展開図が導く、美しく力強い箱のデザイン」。魅力的な帯のコピーとシンプルなタイトルに引かれページをめくると、およそ1枚の紙から作られた箱とは思えない「作品」が並ぶ。著者は米国、ドイツ他50以上の…
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究極の“上から目線”
カバーの「Tの字模様」が印象的だが、それが何なのか一瞬戸惑う。じっと目を凝らすと幾何学的な構造や規則性のある組織体が見え、やがて「T」全体が海に突き出た地球上の半島の一部だと分かる。 超高解像度…
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秋の夜長の“上質な暇つぶし”
「イラストレーターの著者が文字だけでは分かりにくい雑学ネタを絵と文で表現」「博学になるトリビア200本超!」 そんなタイトルや帯コピーに引き込まれ思わず手に取ったのだが、予想を上回る情報の量と…
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本の散策を容易にする“新発明”
蔡國強。2008年、北京オリンピック開会式でビジュアルディレクターを務める。「ビッグフット」の鮮烈な映像を覚えている読者も多いだろう。1957年、中国福建省生まれ。中国4大発明のひとつ「火薬」を用い…
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グレートな“立体作品”に挑戦!
「つくるよろこび! エガこうさく 衝撃のペーパークラフト『グレートエガヘッド』をつくる!」 帯コピーを見ると、「ギャグ」満載のタレント本のようだが油断禁物、襟を正して「エガ工作」しないとむなし…
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2キロの重みは“ダテ”じゃない
実際手に取って本書を鑑賞し終えた読者は、いろいろな意味で「身体」について考えさせられるだろう。 マイケル・ジャクソンの遺品を撮影した著名カメラマンによる、ニューヨーク・シティ・バレエ団の写真…
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アツイ芸術をクールにまとめる“技”
漆黒のクールビューティー。端正な縦長フォルムに惹かれ思わず手に取る。 小泉明郎。1976年、前橋生まれ。映像、パフォーマンスを中心に作品を発表。本書は本年3月21日より「アーツ前橋」にて開催…
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洒落たパッケージの“キット”本
アントニ・ファン・レーウェンフック(1632―1723)。オランダ・デルフト生まれの科学者。ガラス玉を用いた「単レンズ仕様」の顕微鏡を発明。当時としては驚異的な倍率と分解能を誇る。細菌、赤血球、水中…
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“作品に触れる”造本に驚嘆
現代藍染め作家・福本潮子作品集。1977年から現在まで約40年の仕事を網羅する野心作だ。 唐突だが、「色」を扱った経験のある方なら共感いただけると思う。 「青」のグラデーションには抗い…
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虹色の向こうに「移ろい」が見える
友部正人。1950年生まれ。ミュージシャン/詩人。帯に「5年ぶりの新詩集」「ニューヨークの部屋で……時差ぼけの頭で思いつくままに……三年ぐらいの季節ごとの詩を書いてみた」とある。 目次を繰れ…
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目眩すら覚えるホログラム・デザイン
コニカミノルタ取締役会議長による経営論。 「写真/レンズ/フィルム/光学/複写機/レーザー」と、筆者の歩んだ歴史と本書の装丁を読み解く上で重要な単語が随所に並ぶ。 四六判、上製。カバー…
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容赦ない描写力に思わず“2度見”
タイトルは「溝」、道路脇の側溝の意。基本コンセプトは以下の通り。 「…特殊な方法で撮影…小人が溝の中で写真を撮影しているように…私はこの作品のジャンルをミクロ風景写真と名付けている。」 …
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つい、読んでしまう“写真集”
「アフリカの、原色のダンディズム」。そんな言葉が脳裏をよぎる。と同時に、もし心に本棚があるとしたら、本書にふさわしい、納得のいく「棚」を見つけた気がした。 何の予断も持たずに、純粋に写真だけを…