著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

目眩すら覚えるホログラム・デザイン

公開日: 更新日:

「傍流革命」松崎正年著

 コニカミノルタ取締役会議長による経営論。

「写真/レンズ/フィルム/光学/複写機/レーザー」と、筆者の歩んだ歴史と本書の装丁を読み解く上で重要な単語が随所に並ぶ。

 四六判、上製。カバーは4色印刷にコート加工。全面、訳ありの黒ベタ、そこに白抜きの大きなタイトル。一見、シンプルなデザイン。だが実際手に取れば、コトの異様さに気付くだろう。「レンズのような不思議なパターン」がカバー全体を埋め尽くす。目の焦点は、カバー表面に合っているのだが、奥から手前に向かって光の柱が3D映画のように突き出してくるため、距離感が怪しくなる。少し傾けるだけで柱が踊り出し「目眩」すら覚える。

「ホログラム」。語源はギリシャ語。全て(ホロ)を記述する(グラム)。怪しげな言葉の響きとは裏腹に、物理学に根ざした確固たる光学技術(ホログラフイー)の成果。光の色や強弱に加え「方向」を記録することで、奥行きある3次元画像の再生が可能。通常、制作過程でレーザー光を使用。本書に見る「レインボーホログラム」は、装飾性が高くデザイン素材として用いられる他、偽造防止のため、クレジットカード、紙幣などで使われている。ちなみに、ホログラフィーの技術は、光学以外の諸分野に応用され、刺激的なキー概念となっていて興味深い。例えば、「部分から全体」の復元が可能(!)な「冗長性」と、3次元情報を瞬時に読み出せる「並列性」により、次世代のメモリー技術として注目を集めている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇