つい、読んでしまう“写真集”
「SAPEURS-THE GENTLEMEN OF BACONGO」Daniele Tamagni著
「アフリカの、原色のダンディズム」。そんな言葉が脳裏をよぎる。と同時に、もし心に本棚があるとしたら、本書にふさわしい、納得のいく「棚」を見つけた気がした。
何の予断も持たずに、純粋に写真だけを追ってゆくなら、発展途上の街並みを背景に、ド派手なスーツでめかしこんだ、アフリカ系男性モデルの「写真集」としか映らないだろう。据わりの悪い「場違い感」の連続。
「何なんだろう、この伊達オトコたちは?」「反社会的勢力?」「ヒトは『見かけ』で判断するな、というアピール?」
こういうオシャレをし続ける、彼らの事情や背景が知りたくなる。思わず釣り込まれ、つい「読んでしまう写真集」……。
A5変型、ソフトカバー。カバー表1には、上下ピンクのスーツ、ネクタイと合わせた深紅のチーフを胸ポケットにのぞかせ、マゼンタ色のハットをかぶった、くわえ葉巻の黒人男性が闊歩する。その帽子とお揃いの、原色のマゼンタがまぶしい本書の帯には「エレガンスこそすべて。/ポール・スミス絶賛!」の文字。極細のアバンギャルド・ゴシック体で組まれたタイトルSAPEURSの来歴は以下の通り。「おしゃれでエレガントな紳士協会」通称SAPE。そのメンバーたちをSAPEURS(サプール)と呼ぶ。