「家康、江戸を建てる」門井慶喜著

公開日: 更新日:

 天正18年、豊臣秀吉は徳川家康に関東八カ国の提供を提案する。小田原征伐の功に報いるというのが表向きの口実だが、低湿地が広がる未開の地の関東と、家康の所領である駿河、遠江、三河、甲斐、信濃を交換するのが条件であり、家康の力を弱めるための策略だとして家臣たちは猛反対した。しかし家康は国替えの要求を受け入れることを決める。

 本書は、江戸に都を築き上げるまでの家康の采配と、その臣下の涙ぐましくも地道な努力の行方を追う。

 江戸を整備するにあたって、家康が目をつけたのは洪水や湿地帯を克服するための治水、経済を握るための貨幣、江戸の飲み水を支える水道整備、大手門の石垣積み、秀吉に対抗するための白一色の江戸城天守の建築の5つだった。

 利根川の流れを変えた伊奈忠次、貨幣作りに生涯をかけた橋本庄三郎、水源探しに奮闘した大久保藤五郎、石切りの吾平、大工頭の中井正清ら、揺るぎない江戸の礎を築いた人々の汗と涙の物語となっている。(祥伝社 1800円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 3

    大谷も仰天!佐々木朗希が電撃結婚!目撃されたモデル風美女に《マジか》《ビックリ》

  4. 4

    井上中日が「脱立浪」で目指す強打変貌大作戦…早くもチームに変化、選手もノビノビ

  5. 5

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  2. 7

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  3. 8

    “透け写真集”バカ売れ後藤真希のマイルドヤンキーぶり…娘・希空デビューの辻希美とともに強い地元愛

  4. 9

    爆笑問題・太田光のフジテレビ番組「休止の真相」判明 堀江貴文氏“フジ報復説”の読みハズれる

  5. 10

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ