「欽ちゃんの、ボクはボケない大学生。」萩本欽一著
物忘れが多くなってきた欽ちゃんは、認知症予防のために73歳で大学を受験して大学生になった。入学したのは駒沢大学仏教学部。茨城ゴールデンゴールズの監督をしていたときに知り合った中畑清の母校で、仏教を学んで仏教の中にあるすてきな言葉を知り、番組作りに生かしていきたいと思ったのだ。本書は、大学生活を送ることになった欽ちゃんの最初の1年間をつづった一冊だ。
そっと出席するつもりがマスコミのカメラが入ってしまった入学式、オリエンテーションで戸惑う自分にレクチャーしてくれた同級生、どうせ来ないのでは……という周囲の予想を裏切って毎日一番前の席をキープしている講義、初めての学食体験、若者に聞いたアルバイトや就活事情などなど、年長の新参者は新鮮な目で大学生活をフルに味わう。途中、駅伝のスペシャルサポーターに任命された経緯やその中での出会いも語られる。
年を重ねてから新しいことに挑戦する姿が読み手を触発する。(文藝春秋 1400円+税)