シネマの本棚
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一服の清涼剤のようなハイブリッドアニメ
今年4月に亡くなった高畑勲監督の遺作「かぐや姫の物語」。ジブリアニメでは破格の画風が話題になったが、これをしのぐ異色のアニメが来週末封切りの「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」である。 …
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性の革命前のイギリスを舞台にした悲恋
小説の風趣は一にかかって文章にある。同じ筋立てが文章しだいでまったく違うものになるのである。 同じことが原作小説の映画化にもいえるだろう。映画化の失敗という話ではない。むしろ映画と原作の微妙…
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キューバ音楽の伝説的ドキュメンタリーの続編
いまとなってはずいぶん昔に感じる1999年、一本の音楽映画が世界中を魅了した。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」――鮮烈に思い出す人も多いだろう。ギタリストのライ・クーダーが「発見」したキューバの…
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元ベトナム駐留海兵隊員が30年ぶりに再会
アメリカのテレビ用映画が日本では劇場公開される。昔よくあったパターンだが、昨今はこれがネット配信映画に変わりつつある。だが、あなどるなかれ。この手の作品には低予算だからこその秀作が交ざっているもの。…
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差別に立ち向かったボールドウィンの孤独
思えばトランプ政権時代に限った話ではなかった、と改めて思わせられる映画がある。先月から都内公開中の映画「私はあなたのニグロではない」。米作家ジェームズ・ボールドウィンの、差別に立ち向かう孤独な闘いを…
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真剣勝負の醍醐味が味わえる劇場公開デビュー作
小説であれ映画であれ、新人の作品に接するのは普段以上に気合が入る。そんな真剣勝負のヒリヒリする醍醐味を味わえるのが劇場公開デビュー作で、都内公開中の映画「枝葉のこと」である。監督は二ノ宮隆太郎。主演…
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NY五番街の延伸計画を中止に追い込んだ市民運動家の人生
かつて暮らしたニューヨークは見るからに危険で汚い街だった。通称「ABC通り」の路上は割れた注射器だらけ。キャンディーストアの売り物も駄菓子でなくドラッグだった。しかし、今そこは人気のクラブやレストラ…
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主演男優が往年の力道山そっくり
韓国現代史上最大の暗部・光州事件の実話を人情喜劇にした「タクシー運転手」、大統領疑獄事件のたびに注目される大検察庁の風刺劇「ザ・キング」など話題作つづきの韓国映画。「ノワール」と称される暗黒映画も、…
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名作「私の20世紀」監督の30年ぶりの新作
かつて冷戦崩壊直前のハンガリーから登場していきなりカンヌ映画祭の新人賞をさらった映画があった。「私の20世紀」。光の寓話とでもいうべき魅惑的な映画なのだが、その後は監督のイルディコー・エニェディの名…
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終わるに終われない人生の暮れ方
75歳以上の後期高齢者がもうじき前期高齢者の人口を上回るという。日経新聞の見出しを借りると「重老齢社会」の到来である。いやはや驚いた新語だが、結局現代は老いを毛嫌いしているのだろうか。 現在…
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理想主義を捨てた国際社会への鋭い批判
シリア難民問題に端を発した一連の騒動でいまや権威ガタ落ちのEU。そんな時世を背景に、理想主義を捨てた国際社会への鋭い批判を秘めた娯楽映画と評判で話題なのが先週末封切りの「修道士は沈黙する」である。 …
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壊れかけの人形細工のようなブルジョワ一族
好きじゃないのに新作が来るとつい見てしまう監督。ミヒャエル・ハネケはそういう映画監督の筆頭格じゃないかと思う。国籍はオーストリアだが、独仏米を股にかけるカンヌ映画祭の常連。なのに「観客を不愉快にさせ…
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「差別の笑い」を描いた人情喜劇
アメリカでは「差別」は笑いのネタになる。むろん「差別される側」がやる場合の話だが、トランプ政権の誕生後はイラン系のマズ・ジョブラニとかメキシコ系のルイス・C・Kら「白人以外の移民」のコメディアンが移…
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国連平和維持軍の官僚主義と闘うコメディー
冷戦崩壊から約30年。もうそんなに? と信じられない思いだが、その間、映画界では戦争映画と異なる「紛争映画」が着実に数を増やしてきた。その最新作が今週末封切りの「ロープ 戦場の生命線」である。 …
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低賃金と重労働の末にやっと手にする「苦い銭」
優れた作家がそうであるように、優れた映画監督にも「文体」がある。とりわけドキュメンタリー映画作家には。雲南省の精神病院に自ら入って撮影した前作「収容病棟」から足かけ3年。国内では作品の大半が公開禁止…
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スリー・ビルボード
毎年、正月明けの米映画界は、3月初めのアカデミー賞授賞式に向けて年頭から忙しくなる。今回最有力の一本が、来月1日に本邦公開される「スリー・ビルボード」だ。 有力対抗馬と目されるファンタジーも…
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歴史作家vs歴史学者の「史実」をめぐる審判
「坂本龍馬が教科書から消える?」というので先ごろ話題になった高校日本史の用語精選案。それを図らずも思い出したのが現在、都内公開中の映画「否定と肯定」である。 90年代半ば、アメリカの女性歴史学…
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「ビンボー白人」もエリート層も楽しめる娯楽作
現代の映画ビジネスは巨大化し過ぎて失敗できない。湯水のように資金をつぎ込むのは中国ぐらいで、アメリカでさえコスト管理は厳しい。それゆえ冒険はできず、才人監督はやる気をなくしてプロデューサーの「お仕事…
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革命の闘士にして好色のエゴイスト
見るもの触れるものをすべて詩に変えるといわれた天稟の詩人パブロ・ネルーダ。チリの外交官として世界を遍歴し、ファシストの弾圧に倒れた親友ロルカの死に涙した革命の闘士。他方、民衆への愛を雄弁にうたいなが…
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ゴッホの筆触で描いたアニメ映画
壁に掛けた油絵の人物が突然、動きだしたら?それを暗闇で目撃したら?――と、こんなあり得ない話が現実になった。先週末から公開中の映画「ゴッホ 最期の手紙」である。 ゴッホといえば近代絵画の夜明…