上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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「心臓粘液腫」は手術でしっかり取り切れば大きな心配はない
「粘液腫」という心臓にできる腫瘍があります。心臓を構成する組織から発生する特殊な腫瘍で、心臓腫瘍全体の30~40%を占めています。肉腫のような悪性=がんではなく、良性なので腫瘍そのものは命を脅かすもの…
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「クローン技術」は再生医療の明るい未来になりえるのか
iPS細胞を使って心臓という臓器を作り出すのは限りなく難しい--。そう前回お話ししました。未分化細胞であるiPS細胞は体のどんな臓器にもなることができるのは間違いないのですが、1種類の細胞から構成さ…
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iPS細胞で心臓そのものをつくり出すのは極めてハードルが高い
4月13日に開幕する大阪・関西万博で、最新の医療技術を紹介するパビリオンを計画しているパソナグループは、iPS細胞からつくった「ミニ心臓」を展示の目玉にするといいます。大阪大学の澤芳樹特任教授などの…
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体内に設置する「医療材料」は人工物だと限界がある
前回、「伸びる心血管修復パッチ」についてお話ししました。生まれつき心臓や血管の構造に異常がある先天性心疾患の子供の手術で、欠損部分の修復や補強、狭窄した血管の拡張などのために使用するパッチです。使用…
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「伸びる心血管修復パッチ」はどれくらい画期的なのか
昨年、心臓や血管の修復に使用する新たな合成心血管パッチが登場し、注目されています。生まれつき心臓や血管の構造に異常がある先天性心疾患の子供の手術で、心臓・血管の修復や補強、拡張などのために使用する部…
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新型コロナ後遺症で現れる心臓の症状への適切な対処法
新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行してからもうすぐ2年になります。5類感染症とは、感染症法での分類のうち、感染力や重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が最も低いとされるものが該当します…
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飛行機の中で心臓を守るには持病や生活習慣病の管理が重要
法務省出入国在留管理庁の速報値によると、2024年1年間の日本人出国者数は約1300万人で、2019年比では35.2%減でしたが、前年比では35.2%増でした。旅行業界はコロナ禍で大きな打撃を受けま…
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気温が低い冬の屋外では心臓を守るための寒さ対策が重要
まだまだ寒い日が続いています。前回、心臓トラブルから身を守るためには寒さ対策が大切だとお話ししました。気温が低い環境では、われわれは血管が収縮して血圧が上昇したり、血栓ができやすくなって、心筋梗塞、…
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「寒い住まい」での生活は心臓に大きなダメージを与える
“最強”といわれた寒波はピークを過ぎたそうですが、厳しい寒さはまだまだ続く見込みです。 これまで何度かお話ししてきましたが、「寒さ」は心臓にとって大敵です。気温が低い環境では、われわれは血管を…
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「マイクロプラスチック」はなぜ心臓病のリスクになるのか
マイクロプラスチックが心臓疾患のリスクをアップさせる──。昨年、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された最新の研究です。われわれの体内に侵入して蓄積されたマイクロプラス…
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現代社会のストレスを軽減して心臓を守る「祈り」のすすめ
現代は、技術の発展がますます進み、驚くほど便利で暮らしやすい生活が実現しています。その一方、競争、管理、人間関係などのストレスが顕在化した「ストレス社会」ともいわれます。実際、内閣府が15~74歳の…
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「心臓震盪」による突然死を防ぐにはAEDが欠かせない
「心臓震盪」と呼ばれる病態があります。胸部に受けた衝撃が原因で、直後に心臓が不規則にけいれんする心室細動などの致死性不整脈を起こして心停止に至り、突然死を招くものです。 野球、ソフトボール、サ…
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日本における心臓移植は外科医の育成そのものも欠かせない
前回、日本における心臓移植の現状と課題について取り上げました。日本では、スタッフ不足などで移植手術の実施態勢が整わなかったことが原因で、不足しているドナーから提供された心臓の移植手術が見送られた事例…
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日本の心臓移植はどうあるべきか…あらためて議論するべき
昨年6月、脳死した方から提供された心臓の移植手術が見送られた事例が2023年に計16件あったという調査結果が日本心臓移植学会から発表されました。この調査は、心臓を含む臓器移植手術の実績上位の東京大、…
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「AI心臓エコー検査」は医療者も患者も負担が少なくなる
去る11月、順天堂大学とエムスリーAI株式会社が共同で実施した「AI(人工知能)を用いた心臓エコー検査の効率化を実現した研究」が、AHA(アメリカ心臓協会)の最新科学トピックに採択され、現地で発表が…
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「水」が病気予防や健康維持に有効なのは本当なのか
ここ40~50年の間で、日本人の健康意識は大きく変わったという印象があります。病気予防や健康維持をはじめ、アンチエイジングなどにも関心を持つ人が増えていますし、実際、野菜の産出額が2兆2294億円(…
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「鉄分」が不足すると心臓にとって大きなマイナスになる
「鉄分」の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者さんの30%以上は鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血が合併していると報告されていて、貧血を合併している人は、貧血が合併していない人と…
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不整脈に対する「重粒子線治療」の期待と課題
重粒子線で不整脈を治療する--。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構で、そうした研究が進んでいるといいます。 重粒子線とは放射線の一種で、炭素イオンを光の速さの70%まで加速したものです…
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“冷凍アブレーション”も登場…心房細動の治療は進化を続けている
これまで何度もお話ししてきましたが、高齢化が進む日本では「心房細動」の患者さんが増えています。現在、日本の心房細動患者は80万人といわれ、2030年には100万人を突破するとみられています。 …
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カテーテル治療かバイパス手術か…慎重な選択が命を守る
心臓治療の“入り口”は、手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科です。心臓トラブルが起こった場合、まずは循環器内科で検査や診断が行われてから治療がスタートするケースがほとんどです。 中でも…