カテーテル治療かバイパス手術か…慎重な選択が命を守る
心臓治療の“入り口”は、手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科です。心臓トラブルが起こった場合、まずは循環器内科で検査や診断が行われてから治療がスタートするケースがほとんどです。
中でも近年、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患の治療は、循環器内科が行うカテーテル治療が主流です。局所麻酔でバルーンの付いたカテーテルを手首や大腿の動脈から心臓の冠動脈まで到達させ、バルーンを狭窄部で膨らませて冠動脈を拡張し、その後に再狭窄予防のためのステント(筒状の金網)を入れて行う治療が広く普及しています。その際、ステントに免疫抑制薬を塗って、傷ついた血管が盛り上がって再狭窄することを防ぐ「薬剤溶出性ステント」が優先されるケースが増えています。
胸を切開せずに済むので患者さんの負担が少なく、成功すれば通常の生活が送れるようになります。そのため、まずはカテーテル治療を選択する患者さんが大幅に増えました。ただし、カテーテル治療にはデメリットもあります。まず、ひとまず治療がうまくいっても、再狭窄を起こす可能性があることです。留置されたステントを覆うように血管の内壁が増殖してしまうリスクがあるのです。いまのカテーテル治療では再狭窄を起こす割合は低くなりましたが、それでも治療を受けた患者さんの30%程度に再狭窄が起こるとされています。