「マイクロプラスチック」はなぜ心臓病のリスクになるのか
マイクロプラスチックが心臓疾患のリスクをアップさせる──。昨年、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された最新の研究です。われわれの体内に侵入して蓄積されたマイクロプラスチックが心臓にどう影響するのかを検証した初めての研究として注目されています。
イタリアで行われたこの前向き研究によると、頚動脈のプラークを取り除く手術を受けたアテローム性動脈硬化の患者257人のうち、58.4%の人からポリエチレンを含むマイクロプラスチックが検出されました。さらにその257人を術後3年近く追跡した結果、頚動脈プラークにマイクロプラスチックが確認された人は、そうでなかった人に比べて、心筋梗塞、脳卒中、死亡といった心血管イベントのリスクが4.53倍高いことがわかったといいます。
研究者は「この結果は因果関係を証明するものではなく、喫煙や運動不足などの他の要因が健康状態を左右する可能性がある」としたうえで、「プラスチックが健康に及ぼす危険性に関する一連の研究に加わる重要な発見」と述べています。