上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
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研究は進むが…AIを使った診断と治療にはまだ課題が残る
AI(人工知能)を使った心臓疾患に対する診断の研究が急速に進んでいる現状について前回お話ししました。ただ、現場で本格的に運用するためにはクリアしなければならない課題があるのも事実です。 まず…
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AIを使った心臓分野の診断が実現する日はそう遠くはない
心臓疾患の分野でもAI(人工知能)を使った診断の研究が急速に進んでいます。 理化学研究所と昭和大学などの共同研究チームは、胎児の先天性心疾患を出生前に見つける「胎児心臓超音波スクリーニングシ…
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iPS細胞による再生医療が広まるには議論を深める必要がある
重症心不全に対する治療の臨床試験がスタートするiPS細胞について、前回お話ししました。iPS細胞から分化させた心筋細胞をシート状に加工して、重症心不全の患者さんの心臓に貼り付ける治療です。 …
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iPS細胞を使った重症心不全治療の臨床試験に期待している
iPS細胞による心臓治療の臨床試験がいよいよ始まろうとしています。大阪大の研究グループが治験実施を申請したのは、iPS細胞から分化させた心筋細胞をシート状に加工して、重症心不全の患者さんの心臓に貼り…
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患者が口にする「今さら薬を飲んでも遅すぎる」は勘違い
前回も少しだけ触れましたが、今の製薬会社にとって最大のターゲットになっているのが「心不全」です。高齢化が進んで今後さらに患者が増えるのは間違いないため、心不全に有効な薬は大きな需要が見込めます。しか…
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糖尿病の薬が心不全の治療にも使われるかもしれない
糖尿病治療薬として開発された「SGLT2阻害薬」が心不全の治療薬として有効なのではないかという期待が高まっています。 SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管で糖を再吸収する役割を担っているSG…
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中国の患者は日本ではありえない量の薬を処方されていた
8月中旬に訪れたベトナムであらためて実感した日本の医療水準の高さは、ほかのアジアの国々を訪問した際も感じさせられました。 日本では国民皆保険制度によって全国どこでも一定水準以上の医療が提供さ…
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ベトナムであらためて感じた日本の医療と制度の素晴らしさ
8月中旬に訪れたベトナムで、日本の医療の素晴らしさをあらためて感じさせられました。 日本では昭和36年から国民皆保険制度が始まり、そろそろ60年になります。その間、1県1医大といわれるような…
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元祖「神の手」先輩医師との出会いが新たな挑戦へ駆り立てた
前回、今年から「MICS(ミックス)」と呼ばれる小切開手術に取り組んでいるというお話をしました。これまでは手掛けていなかったのですが、希望する患者さんが増えていることや、多くのデータが蓄積されて正当…
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自分にとっての新たな挑戦「ミックス」に取り組んでいる
冠動脈が本来の場所とは違うところから出ている「冠動脈起始異常」では、血管を正しい位置に付け替える手術が将来的に最も問題が起こりにくい方法です。難易度が高い手術なのですが、私がいちばんやりがいを感じて…
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長期にわたる冠動脈起始異常の研究は突然死の防止に役立つ
若い世代の突然死には「冠動脈起始異常」が関係しているケースが少なくない――。前回のお話を続けます。冠動脈が本来の場所とは違うところから出ている先天性奇形で、血流が急に途絶して再灌流障害を起こし、致死…
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「冠動脈起始異常」は若い世代の突然死の大きな原因になる
去る7月、米メジャーリーグ、エンゼルスのタイラー・スカッグス投手が27歳の若さで急逝しました。後日に発表された情報によると、医療用麻薬とアルコールを摂取した後の嘔吐による窒息死とのことでした。 …
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見た目の「若返り」が健康長寿に大きくつながる
今年も8月中旬に4泊6日の日程でベトナムを訪れました。提携を結んでいる国防軍医科大学付属病院から招待され、1件の手術を行いました。 患者さんは、ベトナムには少ないタイプの僧帽弁閉鎖不全症を患…
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負荷をかけ過ぎない運動や生活習慣が心臓を強くする
前回、心臓の健康増進に役立つと報告されているヨガのお話をしました。ヨガのような「負荷をかけ過ぎない程度の有酸素運動」は心臓を強くするのです。 ほかにも、心臓にとってプラスになる運動や習慣はた…
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「ヨガ」には心臓にとってプラスになる要素が詰まっている
ヨガは心臓や血管の健康増進に効果がある――。米国心臓協会の報告です。 ヨガは古代インドが発祥の修行法で、現在は健康や美容を目的としたエクササイズとして広まっています。さまざまな種類があり、ポ…
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食習慣の改善は心臓疾患を激減させる可能性がある
「地中海食」と呼ばれる料理があります。イタリア、スペイン、ギリシャといった地中海沿岸の国々の伝統的な料理のことで、オリーブオイル、ナッツ、野菜、果物、豆類、精製されていない穀物を豊富に使い、チーズやヨ…
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「心アミロイドーシス」早期発見して治療を始めるのが重要
心臓の筋肉に問題が起こることで心臓が広がりにくくなったり、逆に縮まりにくくなってポンプ機能が低下し、心不全を招く「心筋症」について、これまで何度かお話ししてきました。心不全が重症化すると、急に激しい…
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拡張型心筋症のひとつ「緻密化障害」が注目されている
前回、心臓が広がりにくくなって起こる拡張障害型心不全のお話をしました。同じような名称で「拡張型心筋症」という心臓疾患がありますが、こちらは心臓の筋肉がぺらぺらに薄くなって収縮力が低下し、左心室が拡張…
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最新の研究で「拡張障害型心不全」に新たな治療の可能性
近年、「拡張障害型心不全」という病気が注目されています。 われわれの心臓は休むことなく収縮を繰り返し、ポンプのように血液を全身に送り出して生命を維持しています。しかし、心臓が弱ってポンプ機能…
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子供の頃に受けた抗がん剤治療の影響が心臓に表れるケースも
抗がん剤の副作用で心臓疾患を発症したり重症化するケースが増えていることを前回お話ししました。心臓に大きな負担をかける白金製剤(プラチナ製剤)や、心毒性があるアントラサイクリン系の抗がん剤の影響による…