(18)「温活」と長寿…温泉やサウナで長寿をサポート
温泉やサウナなどの「温活」により、タンパク質の変性の抑制や、変性したタンパク質の修復を行うHSP(ヒートショックプロテイン)が活性化される。前回は、そのことが、老化につきもののタンパク質の恒常性の喪失=タンパク質の劣化に待ったをかけている、との考えを説明した。
一方、長寿研究の遺伝子関連領域で大きな注目を集めているのは、サーチュン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化についてである。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師がいう。
「サーチュン遺伝子は2000年頃、マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ギャレンテ教授が酵母を使った研究により発見しました。寿命と老化の中心的な制御を担うタンパク分子(Sir2)を作るための遺伝子です。Sir2を失った酵母の寿命は正常の半分となり、Sir2が余分にあると寿命が30~40%長くなり、老化速度が遅くなったことが報告され、やがてサーチュン遺伝子は長寿遺伝子と呼ばれるようになったのです」
その後、研究でサーチュン遺伝子は哺乳類において1~7の種類があり、それぞれ特性があることがわかっている。サーチュン2遺伝子によって作り出されたSir2は、細胞の中心にある核内でスイッチを切りたい(不活化したい)遺伝子領域をより強固にする酵素である。