長寿研究のいまを知る(11)やせる2型糖尿病薬と長寿との関係…抗がん剤より副作用が少ない
古い2型糖尿病の飲み薬であるメトホルミンに抗老化作用があるのなら、新しい2型糖尿病の飲み薬にも同様の効果があるのではないか? そう考えるのが自然だ。
実際に、2014年に日本で発売になった「SGLT2阻害薬」に抗老化作用があることを順天堂大学の研究チームが今年公表している。
SGLT2阻害薬とは、尿中に捨てたブドウ糖の再吸収を阻害することで血糖値の上昇を抑制する飲み薬。インスリンを産生する膵臓に働きかけてインスリン分泌量を増やすSU剤という飲み薬とは異なるメカニズムで血糖を抑える。そのため、膵臓を疲弊させず、体重も減少することから、処方する医師が増えている。
研究チームは、血糖を低下させるSGLT2阻害薬の投与はカロリー制限した状態を模した状態をつくり出し、老化細胞の除去が進み蓄積が抑制される。だからSGLT2阻害薬は老化を抑制するのではないか、との仮定を立てた。
その仮説を立証するため、肥満させたマウスに短期間SGLT2阻害薬を投与した群と、インスリンを投与した群とを比較した。