「野菜と果物 すごい品種図鑑」竹下大学著

公開日: 更新日:

 かつて秋の食卓にのるブドウといえば、デラウエアとか巨峰だった。それがいつしか、シャインマスカットが主流となり、その後も毎年のように新たな品種が店頭に並ぶ。

 ブドウだけではない。コメなどの主食にはじまり、ありとあらゆる農作物で、新たな品種が続々と登場している。

 そもそもイネもリンゴもジャガイモも、日本の青果コーナーに並ぶ農作物のほとんどは、早いものは縄文時代に、遅いものでは明治以降に持ち込まれたもので、それらを栽培しやすく、そしておいしく改良し続けてきた歴史がある。

 本書は、日本で栽培されている野菜と果物27種類を取り上げ、そのお馴染みの品種から新時代のスター品種、そして個性的な新品種まで、約200品種を紹介する名鑑。

 例えば、国内野菜の生産量1位のキャベツは、18世紀初頭の宝永年間にオランダ人によって導入された。江戸時代は観賞用だったが、洋食文化の普及で家庭の食卓に欠かせない野菜になったという。

 お好み焼きにもなくてはならないキャベツだが、昭和20年に高騰したネギから代替され、現在に至ったらしい。

 そんな歴史ウンチクとともに、秋まき極早生の「金系201号」や、小ぶりで葉がやわらかい「グリーンボール」などの代表品種から、イタリア料理に使われる葉キャベツ「カーボロネロ」や、日本生まれの観賞用キャベツ「ハボタン」などを紹介。

 一方、ビールのお供・エダマメは、実は日本書紀にも登場する希少な日本原産の主要作物で、在来種や新品種が400品種以上もあるそうだ。

 ほかにも、慶長年間の1600年前後にジャカルタ産品種が持ち込まれ、「ジャガタラいも」から呼ばれるようになった「ジャガイモ」など。家庭菜園家や食いしん坊必携本。

(エクスナレッジ 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手