「Woman's Style100」ヤマザキマリ監修

公開日: 更新日:

 世界を見渡すと、女性首相はもはや珍しくもなく、政治に限らず、あらゆる分野で女性の存在感は増すばかりだ。

 新型コロナのパンデミックから世界を救う手だてとなったワクチンの早期開発を可能にした「メッセンジャーRNA」の実用化も、ハンガリー出身の女性研究者カタリン・カリコ氏の長年の研究の成果があってこそだ。

 本書は、カリコ氏のように、ガラスの天井を一つ一つ打ち破り、人類の進歩に貢献した各分野の女性偉人100人の人生と功績を紹介するビジュアルブック。

 例えば、今、世界中がその動向を注視する台湾初の女性総統・蔡英文氏。イギリスの大学で博士号を取得し帰国後には大学教授についた才媛だが、子どもの頃から成績が特に良かったというわけではなく、アルファベットが覚えられず、学校の定期テストで58人中51番だったこともあるそうだ。

 大学の教壇に立つ傍ら、36歳でWTOの交渉担当、44歳で対中国政策を担う行政院大陸委員会の主任委員を経て、政治家へと転身した。

 公私にわたるエピソードを交えながら、その来歴を簡潔に紹介する。

 蔡英文氏やカリコ氏のように「21世紀の今こそ知りたい9人の女性」をはじめ、性差別と闘い続けたアメリカ法曹界のカリスマ「RBG」ことルース・ベイダー・ギンズバーグ氏らそれぞれの立場で「道を開いた先駆者」や、16世紀に小国だったイギリスが後に大英帝国と呼ばれる礎を築いた女王エリザベス1世ら「君臨する女性」、人種差別と闘った黒人ダンサー、ジョセフィン・ベーカーら「創造する女性」など、6つのジャンルに分け、100人を網羅する。

 どの女性もジェンダーを超え、一人の人間として輝き、後に続く我々に勇気と力を与えてくれる。

(昭文社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主