公演中に軍刀を持った暴漢に襲われた橋幸夫
暴漢の2撃目が、そばにいた司会者の晴乃パーチクの後頭部に加えられる。パーチクの血が流れ、切れた髪が飛んだ。そのころになると観客たちも騒然となった。
暴漢はさらに橋を追いかけ、橋の背中を突き刺した。マネジャーらが止めようととっさに軍刀を掴むが手を切られ、右手中指がぶらぶらになるほどの大けがを負う。それでも、舞台の隅に追い詰められた橋は男に立ち向かった。左手で果敢に刀を掴み、右手で男を殴りつけたが、男は死に物狂いで向かってくる。橋は両手で刀を掴み男の勢いを止める。このすきにスタッフらが男に飛びかかり数人がかりで、押さえつけた。会場警備で現場にいた警官も駆けつけ、男に手錠をかけた。
橋は血まみれになっており、背中の心臓の裏に深さ2.5センチの傷。右肘の肉もそがれ、手のひらにも切り傷が無数にあった。近くの外科医院に搬送され、全治2週間の診断を受けた。
殺人未遂の現行犯で逮捕された男は傷害の前科のある32歳の運転手。この軍刀以外にも懐に短刀を隠し持っていた。
彼は取り調べで犯行の動機を語ったが、「普段何をやってもダメで、橋幸夫のようなスターに強い嫉妬心を抱いていた。また、取引先の自分をよく叱る男が橋幸夫に顔が似ていたから」と釈然としないものであった。