個性派・佐藤二朗のブレークは堤幸彦監督の演出感覚のおかげ

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 当時、小劇場ブームで飯島さん、鈴木さんの2人が主宰する「自転車キンクリート」という劇団もその中のひとつでした。僕はこの公演をきっかけに所属した。その自転車キンクリートの舞台を堤幸彦監督が見てくれて、僕の人生に大きな転機が訪れました。

 ドラマの「ブラック・ジャック2」に使ってくれて、僕ひとりをワンショットで映してくれたんです。普通、役名もない端役にフォーカスすることなんてありえないし、余計な演技をしてもカットされて終わるのが常。ところが、堤さんはそういう無名の役者も使ってくれた。

 そのワンシーンのおかげで舞台以外の仕事が入るようになりました。

本木雅弘からスカウト

 主演のブラック・ジャックは本木雅弘さん。本木さんと本木さんの所属事務所の社長がたったワンシーンの僕に目をつけてくれ、僕をスカウトしてくれました。

 堤さんはいつもそれほど多くの演技指導はしません。僕はもらった役を自分なりに消化してカメラの前で表現する、堤さんはそれを切り取る、そんな関係です。舞台からテレビにシフトするのって難しいこともよく聞きますが、僕の場合は堤さんからいただく仕事をこなしているうちにクリアできていた。もちろん、自分なりにテレビでの見せ方は、少しは考えましたが、毎回ぜんぜん違うタイプの役をいただくので、次第に演技のバリエーションがサンプルとして映像になっていく。それがまた次のオファーを呼び、仕事の幅が広がっていきました。

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