個性派・佐藤二朗のブレークは堤幸彦監督の演出感覚のおかげ
初めてのテレビドラマ出演で役名もない端役だった佐藤二朗さん(44)がいきなりアップで映し出された。「池袋ウエストゲートパーク」「TRICK」「20世紀少年」で知られる堤幸彦監督(58)の演出が、個性派俳優を世に知らしめる起爆剤になった。
堤さんからすると僕が堤さんのおかげなんて言うのが不思議みたいでした。
大学を卒業して、芝居の養成所に2カ所入学したものの、劇団員になれず…鳴かず飛ばず。26歳でサラリーマンになり、自ら劇団を立ち上げ、日曜大工ならぬ日曜俳優になりました。
ところが旗揚げ公演で観客は14人。一応有名どころの研究生をしていれば、それなりに満席の中で舞台に立てるのが普通でしたから、あれは驚愕でした。
こりゃ「まずい」と思って、新人発掘型の「ラフカット」という公演のオーディションを受けました。今も続く、純粋にオーディションだけで役者を選ぶ企画で、僕の出演した頃は松尾スズキさんなど人気の作家が脚本を提供していました。なんとか合格した僕は、飯島早苗さん脚本、鈴木裕美さん演出コンビの作品で舞台に立てました。